JAIMAについて

JAIMA 環境委員会の取組み

JAIMA環境委員会では、世界各国の環境規制へのロビー活動を通じて、会員企業のビジネスを支援しています。とりわけ製品含有化学物質規制は、分析機器の製造・販売・輸出に影響を及ぼす可能性が高いため、会員企業のビジネスに過度な制限がかからないよう関係団体と連携して、分析業界を代表したロビー活動を展開しています。

2021年度にJAIMAでロビーを実施した案件の一覧
実施日内容
2022/3/31UAE-RoHS TF 見解書
2022/3/11カナダ 有害物質規制におけるDBDPE制限案への意見書
2022/3/9EU-RoHS General Reviewへの意見書
2022/2/18EU-RoHS Pack21最終報告書への意見書
2022/1/28UK-REACH PFAS規制案への意見書
2022/1/27ベトナム 製品中の残留性有機汚染物質(POPs)の制限に関する国家技術規則案及びその上位政令案への意見書
2022/1/7ベトナム 製品中の残留性有機汚染物質(POPs)の制限に関する国家技術規則案への意見書
2021/12/16USA TSCA-PBT規制 PIP(3:1)制限案への意見書
2021/10/15EU-REACH規則 PFAS制限案への意見書
2021/9/14EUタクソノミー・テクニカルスクリーニング基準案への意見書
2021/9/3EU-REACH規則 PFHxA制限案への意見書
2021/7/20EU-REACH規則 デクロランプラス制限案への意見書
2021/5/21UAE-RoHS TF ポジションペーパーへの意見書
2021/5/12USA TSCA-PBT規制意見書案への意見書
2021/4/15EU-REACH規則 PFAS制限案の社会経済影響調査への意見書

分析機器工業会としてロビー活動をすることの意義

分析機器は、物質の組成、性質、構造、状態などを、定性的かつ定量的に測定するために必要な機器であり、今日の科学技術の基礎となっています。分析機器が過剰な規制により、市場供給が滞ることになれば、人の健康や環境に著しい負の影響を及ぼしかねません。

例えば、物質の特性を用いて物質の同定(測定)や校正を行うための標準物質は正確な測定には必須ですが、EU-RoHS指令では規制対象から除外されていません。

JAIMA では、EU-RoHS指令における標準物質に対する見解を、ロビー活動の中で展開しています。

EU-RoHS指令下における標準物質の扱いについて

標準物質はRoHSの範囲から除外される必要がある。標準物質とは、物質の特性を用いて物質の同定(測定)や校正を行うための物質であり、正確な測定には必須である。現状、標準物質は適用除外用途として個別に認められているが、代替は測定原理から不可能な用途であるため、行政の適用除外評価にかかる負担を減らすためにも、RoHSの範囲から除外することが合理的である。

標準物質を用いる代表例として、水銀ランプを用いた波長校正がある。それらの詳細な説明については、JBCE RoHS category 8&9 IGによる2020/11/27付の「Consensus Standard & Certified Reference Material for Calibration」を参照していただきたい。

最後に付言すると、標準物質は精密測定や波長校正に用いられるため、厳しく管理されたラボ環境で使用される。確かにRoHS制限の標準物質は制限物質そのものではあるが、一般に廃棄されることは無く、EU市場に流通する量も少ない。従って、標準物質をRoHSの範囲から除外したとしても、RoHSの目的である人の健康や環境の保護を損なうことは無い。

また、近年では製品含有化学物質規制がさらに進み、規制化学物質(群)の数は増加傾向にあります。

人の健康や環境に有害な化学物質は規制しなければなりませんが、製品中の有害物質を定量評価するための国際標準が無い中で規制が先行すると、市場が混乱して分析機器の市場への供給が滞る恐れがあります。

JAIMAでは、国際標準の分析規格が規制開始前に確立されている必要があると考え、ロビー活動を展開しています。

国際標準の分析規格の必要性について

特定の化学物質を制限の候補とするには、それらに対するIECで定める分析方法が確立されていなければならない。なぜなら、国際的に標準化された分析方法が無いことによる市場の混乱を避ける必要があるからである。

企業はEN IEC 63000:2018に従い、リスク評価に基づいてRoHS制限物質に対する遵法状況をいくつかの手段から確認するが、その中の一つに分析がある。しかし、EN IEC 63000の引用規格であるIEC 62321(化学物質試験法)にて、新規制限候補物質に対する分析規格が無い中で分析を行っても、値のバラツキや確からしさの点から、分析データの信頼性ひいては遵法エビデンスとしての流通性を担保することは難しい。例えば、RoHSが最初に施行された2006年の前後では、制限物質に対する分析規格がまだ存在していなかったため、企業は様々な方法で遵法状況の確認を試み、そして市場に混乱が生じた。分析方法(試料抽出方法を含む)により値や検出下限値が異なるため、ある企業には遵法エビデンスとして十分と考えられる分析データであっても、別の企業には遵法エビデンスとして不適当と判断されたためである。IECがIEC 62321を2008年に策定するまで、こうした混乱は大なり小なり続いた。以上より、国際的的に標準化された分析規格は、企業の法令遵守には必須であることが分かる。このことは、行政の執行監視にも妥当する。

仮に、スクリーニングなどの簡易測定法や精密化学分析方法がIEC規格として確立していなければ、グローバルサプライチェーン全体に混乱が生じて、市場への製品の供給が困難となり、EU市民の生活や環境に負の影響が及ぶことになる。本文書で示しているように、カテゴリー8&9製品は社会の安全、人の健康や環境に〔直接〕貢献できる点に特徴がある。カテゴリー8&9製品の市場供給が滞ることになれば、それこそ社会経済への影響は計り知れない。

Pack 15 ファイナルレポート にある通り、新規制限物質の評価には、化学物質自体の人や環境へのリスク評価だけではなく、社会経済への影響を考慮しなければならない。社会経済への負の影響を避けるためにも、特定の化学物質を制限の候補とするには、それらに対するIECで定める分析方法が確立されていなければならない。